ラヴ・レターズ 上田晋也×松田美由紀(2004/12/02 PARCO劇場)

もともとこの『ラヴ・レターズ』は1990年からやっているそうで。いろんな役者さんや、本業が役者さんじゃない人が演っているんだなあ、とロビーにあった写真*1を見て思いました。
さて、これ「朗読劇」なんですが、舞台の上には椅子が2脚。その間に丸いサイドテーブルがあり、その上に二人分のコップに入った水とピッチャー。音楽もなければ、照明もほとんど変わらないといった、非常にシンプルな舞台。戯曲が翻訳物、ということで最初は正直なかなか入っていけず、というか把握できなかったのですが、徐々に、すーっと観られるようになりました。これは、役者の力なんだろうなと思います。HPには

STORY:幼馴染みのアンディとメリッサ。自由奔放で感覚人間のメリッサ。
真面目でいつも何かを書いているアンディ。思春期を迎えて彼らは一番近い異性としてお互い十分相手を意識しはじめる。しかし、ついに決定的に結ばれるチャンスを迎えた夜、二人は友だち以上にはなれない自分たちを発見する。大学を出た二人はそれぞれ結婚し、まったく別の道を歩き始める。海軍を経て法曹界に入り上院議員まで登りつめるアンディ。アートの道に進んだものの行き詰まって精神的破綻をきたすメリッサ。久しぶりに再会した二人は別々に過ごした日々を取り戻すかのように、お互いを激しく求めあう。
しかし結ばれるには、それは余りにも遅すぎた。

とあって、ちょっと今の私には苦しくなるような*2ストーリー展開で、観終わったあとも素直に「よかったー」というよりは自分と引き合わせてしまい、若干ブルーな感じになってしまったのですが…。
でも、「朗読劇」というのは初めてだったのですが、なんていうか、それぞれ舞台にするのに合う形があって、『ラヴ・レターズ』のような小さい時から成長過程を追って、大人になるまでをシンプルに時間に沿ってみせるような物語には「朗読」というのがいいのかも知れないと思いました*3。動きをつけたりするよりは、シンプルに。お互いに、8歳の頃から55歳の頃まで出し合った手紙を朗読していくのですが、声と表情だけで十分伝わるし、その伝わったものからあとは自分が受け取るときにいろいろ脚色できるわけで。今まで例えばNHKFMなどでやってる「朗読」も聞いたことはなかったのですが、「こういうみせ方もあるんだなー」と新鮮に感じました。劇をみた、というよりは、外国の小説を読んでもらったような。
今回、生でくりぃむしちゅー・上田をみたのは初めてで、こう、スーツを着ているのですがすらっとしてて、テレビでみるよりもかっこいいなあ、と思いました(←まあ、今日は役者ですからね)松田美由紀もすごく綺麗ー!さすが女優さんだわー。上田とは年齢差があるのに、そんなこと感じさせませんでした。上田の声を舞台で聞くとどんなもんなんだろう、と思っていたのですが、全然問題なくて、舞台が進み年齢があがるにつれ、落ち着いたいい声に。アンディは最後は上院議員になるのですが、これが結構はまっていたように思います。たぶん自分のフィールドじゃないので緊張していたのではないかと思うのですが、ものすごく落ち着いていて、そういえばテレビでの上田って「緊張するけど本番にはえらい強い」という姿を多く見ているから、ああ、こういう舞台でもそうなのかなーって。松田美由紀の方はなんどか間違えたり、言い直したりしていたとこがあったので。でも、女の、少しずつ狂気を帯びていくような愛し方をあんな風に声と表情で演じることができるっていうのは、本当にすごいです。
舞台は休憩を挟んで2時間ほど。最初と、後半、出てきて椅子に座り二人は台本を広げるんだけど、2階とも上田は「おっと本が逆さまだった!」という小芝居をしていて、それがなんだか照れ隠しっぽくて、よかったです。最後のカーテンコールで腕組んで出てきたときの、笑顔もね。


*1:舞台上に二人が座って、正面を向いている写真がロビーにがーっと貼ってあったので。確か…去年、観たいなって思った組み合わせがあったなあ、と確認したら恵俊彰×YOU、だったことを思い出しました。(←忘れるな)

*2:まあ、いろいろあるってことです。

*3:あ、逆かもしれない。「朗読劇」だからこそこういう物語を作ったのかも。