宮沢和史 弾き語りコンサート“寄り道”(2005/07/04 吉祥寺前進座劇場)

詩の朗読&弾き語りのコンサート。前進座は劇場って名のとおり、劇場で、舞台の真ん中にイスと、いくつかのギターと、といった感じのセットで。登場した宮沢さんは帽子に、デニムというラフな感じでした。
正直、始るまではどんな感じのライブになるのか…まったく見当がつかなかったのですが、それはそれは素敵なライブでございました。以下、公演がまだ続きますので、「続きを読む」にしておきます。
「中学の時から、プロになりたいと思っていた」という話からライブは始まりました。中学の時から、漠然とした感じであるけどプロになりたかった、と。でもだからといって何をやったらプロになれるのか、ということはわからず、とりあえず上京して、ここ、吉祥寺の近くに住んでいた、そのときに右に左に走る中央線を見ながら作った曲が1曲目の『Take it easy』でした。歌を2、3曲やって、詩を2、3篇朗読するといった形のライブ。照明もぐっと落とされて、舞台上の宮沢さんをぼんやりと照らしたり、足元のライトで照らしたり、詩集が見えるように手元を中心に照らしたりという感じで。あのですね…ちょっとこんなこといって軽蔑されるかもしれないのですが、私はあまりに心地いいとすぐ眠くなるのですね。正直に言うと、歌を聴きながらちょっと意識がふわりとしました。でもそれは心地よすぎて。ギターの音、照明の暗さ、そしてなんといっても宮沢さんの、声。朗読をしてもあの声は響きます。低音の、でもしっかりとした、やさしい声。
途中で、客席に向かってリクエストに答える、と呼びかけた宮沢さん。しっかりTHE BOOMの弾き語り用のスコアも準備してあったりして。会場からはもうたくさんの曲名が飛び交い、収拾がつかなくなって、最後は「吉祥寺で生まれて、育って、恋をして…そういう人」という縛りが。吉祥寺は挙手した人がいなかったのですが、ちょっとひろげて中央線、とするとパラパラと手があがり、その中からのリクエストは『月さえも眠る夜』。ちょうど、出だしが今夜に合っていて、なかなかいいチョイスだったのでは…と思いました。そういえば、宮沢さん、今日で弾き語りライブは3日目だそうですが、すべて雨。「…いつも雨が降るとです」とヒロシ調で言い、雨男宣言をしておりました。続けて、今度はBOOM以外の曲のリクエスト、ということでこれまた会場内、いろんな曲名が飛び交うことに。『なごり雪』には「しぶいね〜」と返し、『以心電心』という声まで上がり、「年齢層…広いですね」と宮沢さん。最後は『マツケンサンバ』という声まで…。でも、あとでちょこっと出だしだけ歌ってました。『マツケン』も『I Love You』も。大サービス。
詩は、書き下ろしされ、会場で販売もされた『寄り道』を中心に。宮沢さんの詩は、読み進めていくと最後にドキリとするような言葉が待っていることがよくあります。今日もいくつか、ドキリとさせられました。歌は、BOOMの曲、ソロの曲、そして他の方の曲を…全部で10曲くらい、でしょうかね。個人的には、恋人にこっそり歌って欲しい曲NO.1の直球曲『光』と、やはりここで聴きたかった『中央線』がよかったです。あと、やっぱり私はブラジル系の曲が好きなんだなあと再確認。いつもライブで再確認してるなわたし。
今秋には、MIYAZAWA-SICKでの中南米ツアーが予定されているそうです。ファンの中には、海外ではなく、もっと私の町にも来てほしい、日本でやってほしい、という声もあるそうで、それも重々承知の上でなんだろうけど、やっぱりもう、宮沢さんには自分で決めたやることがあって、それに一直線に向かっているんだなあ。自分でも、言ってたけど。この間のヨーロッパツアーがかなり自信になったとうか、充実していたそうで、「伝えたいことは、伝わるんじゃないかと思っています」と。それってすごいなあ。伝えたいことが伝わる、そんな手応えを得たってことは。もちろんそれは思いあがりとかではなくて「まあ、今こう思っていても、(中南米ツアーから)帰ってきて、打ちのめされてるかもしれないですけど」とも言っていて、でも手応えをつかんで、また外に向かっていくってのは強くて、そしてかなりいいものになるんじゃないかなあ、と思いました。でも、向かっているのは世界だけじゃなくて、「いつか、本当のソロライブをやりたいと思っています」とも言っていましたよ。もう、チケットのもぎりをやって、それが終わったら物販やって、客入れして、それから楽屋にたーっといって、着替えて、じゃじゃっと演奏して、最後はアンケートの回収まで、一人でやる、と。で、収益はすべて自分の懐にいれて、高飛びするそうです。宮島に*1。時間にしてたっぷり2時間半。すてきなライブでした。
そしてもうひとつだけ、超私的な感想を。最初に朗読した詩は『寄り道』だったのですが、それを聞いて、なぜか「ジェットストリーム」を思い出しました。わたし、そんなに聞いていたわけでもないのにな、ジェットストリーム。でもね、宮沢さんにやってほしいって思った。毎晩素敵なフライトに連れていって欲しいです。だめですか?だめですね。ハイ。



*1:なぜか「宮島」といってしまって、すぐに「…この辺で、スケールの大きさが、ばれますよね」と自分でツッコんでました。