キセル「夏が来る」& 「旅」発売記念ライブ(2005/06/20 青山CAY)

入り口でチケットと引き換えに布製バックを渡されました。プリントはちょっと画像悪くて見えにくいかもしれないけど、「旅」のジャケットをプリントしてあるもの。その中にチラシなどが入ってました。なんかこういうの、嬉しいなあ。
そんな感じで始まったキセルのライブ。二人は白い長袖シャツで登場。まずは『夏が来る』をやってからご挨拶。「久しぶりのライブなんで楽しみにしてました」というようなことを言う兄。でも本当に、音を奏でることをすごくリラックスした状態で楽しんでいるような、そんなライブでした。あまり広いとは言えないステージに、兄・豪文と弟・友晴、そして鍵盤ドラム(←と紹介されていた)のエマーソン北村(…だったはず)という3人。アルバム「旅」を中心の選曲で、といっても結構最初のころの曲もやっていたし、『エノラ・ゲイ』英語ver.や『ハナレバナレ』、アンコールでは『ギンヤンマ』や高田渡のカバーになる『鮪と鰯』も演ってくれました。弟ののこぎりバイオリンも聞けたし。2度目のアンコールでは「まだちょっと早いんですが」と言いながら『夏休み』聞いているうちに、なんだかすごく懐かしい、子どもの頃の夏休みの風景が浮かびました。
MCは兄が話して、ときどき弟がツッコミをいれる感じで。イントネーションがやっぱり京都なんですね。そのあたりもなんだか心地いい感じ。弟・友晴は最近ひとり暮らしを始めたそうで。今までひっそりとやっていたことがひっそりとやらなくてもよくなったそうです。
前回のインストアでもすごく印象に残った『庭の木』に今回もひきこまれました。…なんでしょう、この曲。聴いていると切ないような、悲しいような、甘いような、そんな不思議な気持ちになる曲です。自分の感情のどこにダイレクトに入ってきているのかがまったくわからないのですが、胸のどこかがキリキリと切なくなる…別に、わたしの家に「木」があるわけではありません。でも、確実にどこかで何か懐かしい部分に入りこんでくる。なんだろうこの感覚。弟の声が、入ってくる。

僕を見下ろす 庭の木には
二本の腕と 二つの目玉
小さな景色を 覚え続けた
季節の中で 根を張り続けた

僕が旅に出た朝 くやしそうに花つけた
僕が海を見た日は 木枯らしに枯れていた
僕が途方に暮れた日は 夏の光に揺れていた
僕があの娘に触れた夜 見た事ない実をつけた
    ―『庭の木』(詞・辻村豪文/曲・辻村友晴) 

小さな男の子が、大きな木を見上げているような絵本のようなイメージはおそらくあの絵本*1の印象が私の中にあって、それとどこかでかぶらせているのかもしれない。その小さな男の子が成長する様子をみている木。でも、それだけならこんなに切なくはならないんじゃ、ないかなあ。この詞、そして曲、さらに声があいまっているんだと思います。この曲が聴けるだけでもわたしはキセルのライブに足を運ぶと思う。それくらいの曲です。
やわらかい気持ちになれた、そんな心地いいライブでした。楽しかったです。
この夏は「旅」というアルバムを出したので、ちょっと全国に旅を…という二人。チラシには下北でのライブやら、逗子でのライブも。海辺でキセルも…いいだろうなあ。


*1:「大きな木」まあ、内容はちょっと歌詞とは違うのですが。イメージとして、です。