東京音楽#3「中央線」THE BOOM

BOOMの歌には、東京と名のつく歌もたくさんありますが、もっと狭く見ると中央線がらみの語が結構でてきます。私が知っているだけでも「恐怖の終電車」「そこが僕のふるさと」あたりには。まあ、宮沢さんが山梨出身だからでしょうが。
で、タイトルから「中央線」でも、これ他の線じゃイマイチ…ですよね。「山手線」「埼京線」じゃあ、地域限定色がでてしまうし。「小田急線」「京王相模原線」ううーん…。やはり「中央」だからいいんでしょうね。

君の家のほうに 流れ星が落ちた
僕はハミガキやめて 電車に飛び乗る

でもここで飛び乗った電車に名前はいらないような気もするのです。

走り出せ 中央線
夜を越え 僕を乗せて

でも、やはりここに路線名をもってくることで現実的な、なんというか切なさみたいなものがでてくるのかもしれません。あの、オレンジ色の中央線は、他の電車のシルバーなんかよりもあたたかさを感じられるような、それでいてちょっと古めかしい懐かしい感じがするから。

逃げ出した猫を 探しに出たまま
もう二度と君は 帰ってこなかった
今頃君は どこか居心地のいい
町を見つけて 猫と暮らしているんだね

ここでは別れのぐちゃぐちゃや、面倒くさいことや、辛い切ない悲しいことも一切でてこないのですが、なんとなくそれを全部飲みこんで、日常として電車に揺られているような風景が見えてきます。もちろん人生そんなシンプルなことばかりじゃあ、ありませんが。でも、毎日同じように人を運び、目的ではき出し、また人を乗せて戻っていく「電車」というシステムによって、いやがおうでも、日常に引き戻される。複雑な、面倒なこともすべて普段の日常にしてしまう感じがします。
地方に住んでいると「電車」は特別な時に乗るもので、どちらかというと日常から離れていたものだったのが、上京していつのまにか「電車」が日常になってきた…なあ。

Singles+

Singles+

「中央線」は他のアルバムにも入っているのですが…なんとなく『Singles+』にしてみました。